太陽の断面から中心核や層構造、核融合の光が見えるミステリーラボの記事アイキャッチ画像

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太陽の内部構造はどうなっている?中心核・放射層・対流層をわかりやすく解説

私たちが可視光で見ている太陽は、光球と呼ばれる表面付近です。その内側には、中心核・放射層・対流層が重なっています。

太陽内部の姿は、表面に現れる振動、中心核から届くニュートリノ、太陽の質量や明るさを使った理論計算から調べられています。

現在の太陽内部像は、標準太陽モデル、日震学、太陽ニュートリノという異なる方法を照らし合わせて得られたものです。

中心核で生まれたエネルギーが放射層と対流層を通り、光球から宇宙へ放出されるまでの流れをたどると、直接見ることのできない太陽内部の仕組みが見えてきます。

太陽の中は中心核・放射層・対流層に分かれている

太陽の中心核・放射層・対流層を示した内部構造の断面図
太陽内部は、中心核・放射層・対流層に大きく分けられる。色や境界は構造を説明するための模式表現。

出典:NASA Marshall Space Flight Center「The Solar Interior」

太陽内部は高温のプラズマでできている

太陽の主成分は水素とヘリウムです。内部では温度が非常に高いため、原子から電子が離れ、原子核と電子が動き回るプラズマになっています。

太陽の中心核という名前は、位置と役割を表しています。中心核も放射層も対流層も、高温・高密度のプラズマで構成されています。

太陽がほぼ球形を保つのは、内向きに働く重力と、内部から外向きに働く圧力がつり合っているためです。

太陽は、重力と内部圧力がつり合う静水圧平衡によって、安定した大きさを保っています。

内部から大気まで続く太陽の層

太陽の構造は、内部、表面付近、大気に分けて考えると整理しやすくなります。

中心核・放射層・対流層が太陽内部を構成し、その外側に可視光で見える光球、さらに彩層・遷移層・コロナが続きます。

区分主な特徴
内部中心核核融合によってエネルギーが生まれる
内部放射層放射によってエネルギーが外側へ運ばれる
内部対流層プラズマの上下運動によってエネルギーが運ばれる
表面付近光球可視光で見える太陽の表面
大気彩層・遷移層・コロナ光球の外側に広がる太陽大気

太陽内部で生まれたエネルギーは、中心核、放射層、対流層を通り、光球から宇宙空間へ放出されます。

内側ほど温度・圧力・密度が高い

太陽の物質には、中心へ向かう重力が働きます。中心に近いほど、その上に重なる物質の重みが大きくなり、圧力が高まります。

圧力の上昇とともに密度と温度も高くなり、中心部には核融合が起こる環境が作られます。

標準太陽モデルでは、中心温度は約1,500万K、中心密度は水の百数十倍に達すると見積もられています。

太陽の各層では何が起きているのか

中心核|核融合でエネルギーが生まれる

中心核は、太陽の中心から半径のおよそ2〜3割までに広がる領域です。

中心に近いほど温度と密度が高く、水素原子核からヘリウム原子核を作る核融合が盛んに進みます。

太陽で主に起こる反応系列が、陽子―陽子連鎖です。

反応前後の質量を比べると、完成したヘリウム原子核の質量は、材料となった水素原子核の合計よりわずかに小さくなります。この差がエネルギーへ変わります。

反応の過程では、電磁波や陽電子とともにニュートリノも生まれます。

太陽から届くニュートリノの観測は、中心核で核融合が進んでいることを示しています。

放射層|吸収と再放出でエネルギーを運ぶ

中心核の外側には、太陽半径のおよそ7割付近まで放射層が広がっています。

放射層では、エネルギーが主に電磁波として運ばれます。

プラズマの密度が高いため、電磁波は周囲の物質に吸収され、別の方向へ再び放出されます。散乱も含む相互作用を繰り返しながら、エネルギーは少しずつ外側へ移ります。

放射層を進むのは、中心で生まれた特定の光子というより、物質と電磁波の相互作用を通じて受け渡されるエネルギーです。

対流層|プラズマの上下運動でエネルギーを運ぶ

太陽の外側およそ3割を占めるのが対流層です。

この領域では、物質の不透明度が変化し、放射よりもプラズマの運動によるエネルギー輸送が効率的になります。

内側で温められたプラズマが上昇し、光球付近でエネルギーを放出すると温度が下がります。その後、密度が高くなったプラズマが再び内側へ沈みます。

上昇と下降を繰り返す対流によって、エネルギーが光球付近まで運ばれます。

対流の様子は、光球に見える粒状斑にも現れます。明るい部分では高温のプラズマが上昇し、暗い境界付近では冷えた物質が下降しています。

太陽観測衛星ひのでが撮影した太陽光球の粒状斑
太陽光球に見える粒状斑。明るい部分では高温のプラズマが上昇し、暗い境界付近では冷えた物質が下降している。

出典:NASA/Goddard Space Flight Center Scientific Visualization Studio「Hinode's High-resolution view of solar granulation」

光球から外側には太陽大気が広がる

対流層の上には、可視光で見える表面である光球があります。

私たちが太陽光として受け取る可視光の多くは、光球付近から放出されます。

光球の外側には、彩層、遷移層、コロナが続きます。コロナの加熱、太陽フレア、太陽風などは、太陽大気と磁場に関わる研究テーマです。

太陽の中心ではなぜ核融合が起こるのか

重力が中心部を高温・高圧にする

太陽の重力は、内部の物質を中心へ引き込みます。

圧縮された高温のプラズマは外側へ押し返し、重力と圧力がほぼつり合った静水圧平衡を作ります。

このつり合いの中で、中心部は約1,500万Kの高温と非常に高い圧力に保たれます。

水素原子核である陽子は、どちらも正の電荷を持つため反発します。高温による激しい運動と量子トンネル効果によって、一部の陽子は核融合が起こる距離まで近づきます。

量子トンネル効果は、古典物理で越えにくいエネルギー障壁を、量子力学的な確率で通り抜ける現象です。

一つの陽子が反応する確率は低くても、中心核には膨大な数の陽子があるため、太陽全体では安定して核融合が続きます。

陽子―陽子連鎖でヘリウムが作られる

太陽の陽子-陽子連鎖で水素原子核からヘリウム原子核が作られる流れ
陽子―陽子連鎖の基本的な流れ。二つの陽子から始まる複数段階の反応を経て、最終的にヘリウム原子核が作られる。

陽子―陽子連鎖は、二つの陽子が反応するところから始まります。

複数段階の反応を経て、最終的には4個分の陽子から1個のヘリウム原子核が作られます。

途中では、重水素やヘリウム3などの原子核が作られ、陽電子、ニュートリノ、電磁波が放出されます。

太陽の核融合は、複数の反応を通じて水素をヘリウムへ変え、質量の一部をエネルギーとして放出する仕組みです。

太陽を光らせる核融合反応

地上の炎は、物質が酸素と結びつく化学反応によって生じます。

太陽では、原子核そのものが別の種類へ変化する核融合によってエネルギーが生まれます。

化学反応では原子核の種類は変わりませんが、核融合では水素原子核からヘリウム原子核が作られます。

太陽のエネルギー源は、酸素を使う燃焼ではなく、中心核で進む核融合です。

重力と圧力が太陽の大きさを保つ

太陽内部では、重力が物質を中心へ引き込み、熱運動や放射による圧力が外側へ押し返しています。

核融合で生まれるエネルギーは、内部の温度と圧力を維持する役割を持ちます。

核融合が進む速さは中心温度に敏感です。中心温度が少し上がると反応が活発になり、圧力が高まって太陽がわずかに膨張します。膨張すると中心温度が下がり、反応も落ち着きます。

重力・圧力・核融合の相互作用によって、現在の太陽は長期的に安定した状態を保っています。

中心で生まれたエネルギーはどうやって表面まで届くのか

太陽中心のエネルギーが放射層と対流層を通って光球へ運ばれる仕組み
中心核で生まれたエネルギーは、放射層では電磁波と物質の相互作用、対流層ではプラズマの上下運動によって光球まで運ばれる。

太陽内部では、深さによってエネルギーを運ぶ方法が変化します。

中心核と放射層では放射輸送、対流層ではプラズマの運動が中心になります。

中心核から放射層へ

核融合で生まれたエネルギーは、はじめ高エネルギーの電磁波や粒子の運動エネルギーとして周囲へ渡されます。

高密度のプラズマとの吸収、再放出、散乱を繰り返しながら、エネルギーは外側へ広がっていきます。

放射層から対流層へ

放射層の外側では温度が下がり、物質の不透明度が変化します。

放射だけで熱を運ぶより、プラズマそのものが動く方が効率的になると、対流が始まります。

放射層では電磁波と物質の相互作用、対流層ではプラズマの上下運動によって、エネルギーが外側へ運ばれます。

光球から地球までは約8分20秒

対流層を通って光球付近へ運ばれたエネルギーは、可視光や赤外線などの電磁波として宇宙へ放出されます。

光球を出た光が地球付近へ届くまでの時間は、約8分20秒です。

これは、太陽と地球の平均距離である約1億5,000万kmを、光が進む時間に相当します。

エネルギー輸送にかかる約10万年規模の時間

中心核で生まれたエネルギーが光球へ届くまでには、約10万年規模の長い時間がかかると見積もられています。

資料によって数万年、十数万年、数十万年以上と幅があるのは、放射層だけを扱うか、対流層まで含めるか、エネルギー輸送をどのように定義するかが異なるためです。

放射層では、電磁波が短い距離を進んでは物質と相互作用し、方向を変えながら外側へ移ります。

「太陽中心で生まれた光が約10万年かけて出てくる」という表現は、特定の光子の旅ではなく、エネルギーが内部を受け渡される時間を表しています。

観測から太陽内部を調べる3つの方法

太陽内部を調べる中心的な方法は、標準太陽モデル、日震学、太陽ニュートリノです。

標準太陽モデルは温度や密度を計算し、日震学は内部の音速や回転を調べ、ニュートリノは中心核の核融合を伝えます。

標準太陽モデル・日震学・太陽ニュートリノから太陽内部を調べる方法
標準太陽モデルの計算、表面振動を使う日震学、中心核から届くニュートリノを照らし合わせて太陽内部を調べる。

標準太陽モデルで内部を計算する

標準太陽モデルは、太陽の質量、半径、明るさ、年齢、元素組成などを使い、内部の温度や密度を計算する理論モデルです。

重力、静水圧平衡、エネルギー輸送、核反応などの物理法則を組み合わせ、現在の太陽の状態を再現します。

計算結果は、実際の太陽の半径、明るさ、表面組成、日震学、ニュートリノ観測と比較されます。

標準太陽モデルは、観測値と物理法則を結びつけて、太陽内部の温度・密度・核反応を再現する計算モデルです。

標準太陽モデルと観測結果の関係は、理科年表オフィシャルサイトの「太陽内部の構造」でも解説されています。

日震学で音速と内部回転を調べる

日震学は、太陽表面に現れる振動を使って内部を調べる方法です。

太陽表面には、周期がおよそ5分の振動が広く観測されています。この振動を作る波は太陽内部を伝わり、温度、密度、組成、流れによって進み方が変わります。

振動の周期やパターンを詳しく解析すると、内部の音速、密度、回転速度の分布を推定できます。

地震波から地球内部を調べる地震学と、基本的な考え方は共通しています。

日震学から求めた音速分布は、太陽内部の広い範囲で標準太陽モデルと高い精度で一致しています。

太陽ニュートリノが中心核の反応を伝える

太陽ニュートリノは、中心核の核融合反応で作られる素粒子です。

ニュートリノは物質と反応しにくいため、太陽内部を短時間で通過します。その後、光とほぼ同じ速さで宇宙空間を進み、約8分で地球付近へ到達します。

光として放出されるエネルギーが内部を約10万年規模で運ばれるのに対し、ニュートリノは中心核の状態をほぼリアルタイムで伝えます。

太陽ニュートリノは、中心核で現在進んでいる核融合を調べる直接的な手がかりです。

太陽ニュートリノの観測については、スーパーカミオカンデ公式サイトでも紹介されています。

複数の観測を組み合わせて内部像を確かめる

標準太陽モデル、日震学、ニュートリノ観測は、それぞれ異なる情報を与えます。

モデルは温度・密度・核反応を計算し、日震学は音速と回転を測り、ニュートリノは中心核の核融合率を伝えます。

さらに、太陽の半径、明るさ、表面元素組成などもモデルの検証に使われます。

異なる観測と理論計算が同じ内部構造を示すことで、太陽内部の現在の理解が支えられています。

観測が支える現在の内部像

現在の太陽物理学では、太陽内部が中心核・放射層・対流層に分かれることが広く支持されています。

中心核で陽子―陽子連鎖が進み、放射層では主に放射、対流層ではプラズマの運動によってエネルギーが運ばれるという流れも、観測とモデルの両方に基づく基本的な内部像です。

日震学によって、内部の音速、密度、回転分布も詳しく調べられています。

太陽ニュートリノは、中心核の核融合率や反応系列を検証する役割を持ちます。

大まかな層構造と中心核の核融合は、複数の独立した観測から強く支えられています。

内部回転・対流・磁場の研究

太陽内部では、大まかな層構造に加えて、細かな回転、対流、磁場形成の研究が進んでいます。

中心核付近の回転

日震学によって、対流層や放射層の回転分布はかなり詳しく調べられています。

一方、太陽中心に近い領域を通る振動モードは観測が難しく、中心核の細かな回転速度には幅が残ります。

深い対流層の流れ

対流層では、粒状斑として見える小規模な対流から、太陽全体を巡る大規模な流れまで、さまざまな運動が起きています。

深い対流層での流れ方、速度、緯度方向の循環は、黒点や磁場の移動にも関係します。

タコクラインと太陽磁場

放射層と対流層の境界には、タコクラインと呼ばれる薄い領域があります。

放射層は比較的一様に回転し、対流層は緯度によって異なる速さで回転します。タコクラインでは、この回転速度が大きく変化します。

プラズマの流れによって磁場を作る仕組みは、ダイナモ機構と呼ばれます。

タコクラインと対流層の流れは、太陽磁場と約11年の活動周期を理解する重要な手がかりです。

現在は、内部の流れが磁場をどのように増幅し、黒点の出現位置や活動周期の変動へつながるかが研究されています。

太陽の内部構造に関するよくある疑問

太陽の中心には固い核がありますか?

太陽の中心核は、約1,500万Kに達する高温・高密度のプラズマで、核融合が起こる領域です。地球内部の岩石や金属の核とは状態が異なります。

太陽は燃えているのですか?

太陽は、水素原子核からヘリウム原子核を作る核融合によって光っています。地上の炎は酸素を使う化学反応で、太陽とはエネルギーを生む仕組みが異なります。

太陽の中心温度はどうやって求めたのですか?

約1,500万Kという中心温度は、太陽の質量、半径、明るさ、年齢などを使った標準太陽モデルを、日震学やニュートリノ観測と比較して求めた推定値です。

太陽内部のエネルギーは何年で表面に出ますか?

中心核で生まれたエネルギーが光球へ届くまでには、約10万年規模の時間がかかると見積もられています。モデルや時間の定義によって、数万年から数十万年以上の幅があります。

放射層では、電磁波と物質の相互作用を通じてエネルギーが少しずつ外側へ受け渡されます。

まとめ|太陽内部は複数の観測から調べられている

太陽内部は、中心核・放射層・対流層の三つに大きく分けられます。

中心核では陽子―陽子連鎖による核融合が進み、水素原子核からヘリウム原子核が作られます。その過程で生じたエネルギーは、放射層と対流層を通って光球へ運ばれます。

放射層では電磁波と物質の相互作用、対流層ではプラズマの上下運動が、エネルギー輸送の中心になります。

中心核で生まれたエネルギーが光球へ届くまでには約10万年規模の時間がかかり、光球を出た光は約8分20秒で地球付近へ届きます。

太陽内部の温度や密度は標準太陽モデルから計算され、日震学による音速と回転の測定、太陽ニュートリノによる核融合の観測と比較されます。

中心核・放射層・対流層という大まかな構造と、中心で核融合が進んでいることは、複数の独立した観測から強く支えられています。

現在は、中心核付近の回転、深い対流層の流れ、タコクライン、磁場を生むダイナモ機構、約11年の太陽活動周期をより詳しく理解する研究が進んでいます。

直接見えない太陽内部は、理論計算と複数の観測を重ねることで、層構造から核融合、エネルギー輸送まで詳しく描き出されています。

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